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不毛地帯 7話 [不毛地帯]

鮫島復活してて嬉しかったな~。
自動車会社の方は、「販売網が問題なら合併もまた良い案なんじゃないの??」って感じなので、あんまり壱岐に同調できないな~。

あいかわらず、上手い脚本で、じわりじわりと汚れが浸食してくる様子が巧みに設定されている。だが、やはりこの脚本と唐沢さんは合っていない感じがする。
壱岐と言う人物は、「暴力的なまでのイノセンス」を象徴した人物として描かれてきているように思う。一本道をまっすぐ行く。泥をかぶることが出来ない。小出を汚いものを見るような目線で見ていたのが壱岐の本質である。
不倫も、数々の切り捨ててきたものへの後ろめたさを、もっと軽い後ろめたい行為にすりかえるという行動である。それは「汚れる」ことを忌避する壱岐が、彼の価値観でぎりぎり許容できる「汚れ」なのである。「後ろめたく思っている」という気持ちも、「私は反省している」と思うことで、彼の純粋さを守る機能を果たしている。彼の賢さなら、そういう自衛行動だと自己分析できないハズはないのであるが、それは本能的に回避しようとする。
壱岐と言う人物は、少年期・青年期は一つの目標に向かって純粋にまっすぐ進み、そこで常にトップを走ってきた人間である。それが、敗戦・シベリアという「負け」を経験する。それをしたのはアメリカである。純粋さの挫折を経て、彼は強い防衛本能を働かせたのである。
彼は、永遠なる子どもである。だからこそ怖く、魅力的な狂気である。

しかし、唐沢さんは上手い役者だが、その上手さが邪魔になっている。彼には生まれついての荒ぶる魂や純粋さというものを演じるのは向かない人だと思われる。柄にあっていないのである。彼は若く見えるが、永遠の30歳である。この壱岐と言う人物の若さはもっと若い10代や20代のものではないかと思う。だからこそ、家族は余計なものである。その一方、実際は中年の壱岐にとっては自分の正当性を周囲に示すものでもある。

この「イノセンス」という問題。最近「池澤夏樹の世界ワンダーランド」という世界文学全集の紹介をするテレビ番組中で、池澤さんが「アメリカ文学というのは”イノセンスをいかにして守るか”ということをテーマにした文学がたくさんある。」という指摘をしてて、そこからの発想である。確かに、ハックルべりイ・フィンやライ麦畑でつかまえてなど、いかにして汚い大人にならずに大人になるのかというのは、アメリカ文学のテーマであったと言えると思う。このことが、頭に残っていて、壱岐と言う人物を考えるときに思い出された。
壱岐と言う人物は、その合理性・強さへの服従など非常にアメリカ的な価値観の持ち主である。古臭い軍人という洋服をまとってはいるものの、アメリカ的な思考をもっているからこそ、古き商習慣に一石を投じた人物として描かれているし、ラッキードを強力に推すという選択も「アメリカ万歳」という色合いをどこかに持っている。その彼が「イノセンス」を堅持しようとする。そこが個人的にすごく興味深い。


あらすじ(公式)
第三次中東戦争の勃発に端を発した商社間の争いは、壹岐正(唐沢寿明)率いる近畿商事業務本部の迅速な情報収集と的確な分析により、同社のひとり勝ちで終わった。だがその結果、近畿商事内では、壹岐の活躍に危機感を募らせた副社長・里井達也(岸部一徳)の一派と業務本部との間の対立を生みだしてしまう。

同じころ、秋津千里(小雪)は、能楽師の丹阿弥泰夫(加藤虎ノ介)と会っていた。そこで泰夫は、丹阿弥流宗家である両親をはじめとする、三親等の係累まで書き記した紙を千里に手渡し、色々な親類がいるが自分は次男坊で煩わしい付き合いは一切しない主義だ、といって彼女にプロポーズする。

昭和42年7月、近畿商事では、年に2度開催される経営全体会議が行われる。その席で壹岐たち業務本部は、重工業化に対応するために繊維部門のさらなる縮小を唱えた。だが、里井を中心とした反業務本部勢力は、繊維部門が社内一の売り上げを上げていることを理由にこの再縮小案に猛反発したため、会議は紛糾する。

その夜、社長の大門一三(原田芳雄)は、里井を連れて料亭を訪れる。そこで里井は、改めて壹岐の提案に反対した。すると大門は、何故もっと大きな立場に立って壹岐を使おうとしないのか、と里井に問いかける。それが近畿商事のナンバー2である里井の立場ではないか、というのだ。その言葉を受け止めた里井は、大門の方針に従うことを誓って頭を下げた。

そのころ、アメリカを始めとする各国政府は、国内産業保護の観点から外国資本の参入を事実上禁止してきた日本政府への批判を高め、中でも特に、自動車産業に対する資本の自由化を求めていた。資本の自由化が実現すれば、持ちこたえられるのはアイチ自動車と日新自動車だけで、近畿商事が輸出代理店となっている業界4位の千代田自動車などはアメリカのビッグ3、フォーク、ユナイテッドモーターズ、グレンスラーらに飲み込まれてしまう可能性が高かった。壹岐は、ビッグ3の上陸こそ、国際企業とのビジネスをつかむチャンスだと考え、兵頭信一良(竹野内豊)や海部要(梶原善)ら業務本部のスタッフに、アメリカ自動車業界に関する情報の収集を命じた。

一方、里井は、大学時代の同窓でもある千代田自動車の営業担当専務・村山(田村亮)に会う。そこで村山は、社運をかけた新車の開発を進めていること、万が一それが失敗に終わったときは、業界5位の富国自動車との合併を考えていることを里井に打ち明ける。

そんな折、壹岐の前に、航空機部時代の元部下で、第2次防FXをめぐる情報漏えい事件で会社を追われた小出宏(松重豊)が現れる。
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